EVIDENCE · 012

七度が、一度になるまで

バランサーは、数字を出します。右の踵に何ミリ、左に何ミリ。代償が、どれだけ上へ伝わっているか。
けれど私たちは、その数字を「これで治る」とは言いません。
言わないのには、理由があります。それも、いい加減な理由ではありません。
世界中の研究者が、踵から骨盤までを、くり返し測ってきました。
測った末に分かったのは――「一本の数字では、言い切れない」ということでした。
この一篇は、その「言い切れなさ」を、隠さずにお見せします。

バランサーとCOSMO EYEは、足元の傾きが膝・股関節・骨盤へどう伝わるかを推定し、補正の目安を数字で返します。本稿は、その数字の根拠が「どこまで確かで、どこからが言い切れないのか」を、世界の文献にあたって正直に整理したものです。連鎖そのものは確かにある。けれど「踵が何度なら骨盤が何度動く」という一本の換算式は、世界のどこにも確立されていない。なぜないのか。怠慢なのか、それとも別の理由があるのか。そこを、ごまかさずに書きます。これは、AGGTの補正値を否定する記事ではありません。その補正値が、どんな足場の上に立っているかを、正確に示すための記事です。

ONE
第一章

連鎖は、ある

まず、確かなことから。

足元が傾けば、その傾きは上へ伝わります。踵が外へ倒れれば、すねの骨がねじれ、太ももがねじれ、骨盤の傾きが変わる。この「連鎖」そのものは、空想ではありません。複数の研究が、実際に身体を測って確かめています。

🟢 ここは言い切れます
踵骨の外反が、下腿の内旋を生み、それが大腿の内旋を経て、骨盤の傾きに伝わる――この一連のつながりは、運動学の研究で繰り返し観測されてきました。Khamis と Yizhar(2007)は、人工的に踵を外反させると、下腿・大腿・骨盤が連動して動くことを、三次元の計測で示しています。連鎖は、ある。これは、AGGTが踵に着目してきた、その出発点と一致する事実です。

ここで、自然な疑問が浮かびます。「代償連鎖が医学として確立しているなら、関節ごとの係数も、すでに根拠を持って確立しているはずではないか」。

その問いは、半分まで、正しいのです。連鎖は確立している。年齢別・性別別の身体のデータも、世界には蓄積があります。連鎖がある、という見立ては、間違っていません。

問題は、その先――「では、何度動くのか」という、もう半分にあります。

TWO
第二章

でも、何度動くかは、ばらつく

連鎖はある。では、踵が一度傾いたら、骨盤は何度動くのか。

ここで、世界の答えが、ばらけます。

🟡 参考値として(出典を添えて)
踵から骨盤への「伝わり方」を実際に測った研究を並べると、こうなります。
・Khamis & Yizhar(2007):踵を約7度外反させると、骨盤は約1.1度。伝わる割合にして、およそ0.16。
・Hornestam ら(2021):歩行中にインソールで踵を約6.2度動かすと、骨盤は約0.5度。割合にして、およそ0.087。
・Yi ら(2016):踵を約3.5〜4度で、骨盤は約0.4度。割合にして、0.10ほど。
つまり、踵が十度傾いても、骨盤にはせいぜい一度から一度半ほどしか届かない、ということです。――同じ「踵から骨盤」を測っているのに、研究によって、伝わる割合が二倍ちかく違います。

共通しているのは、一つだけ。「踵が大きく傾いても、骨盤はその一割ほどしか動かない」ということです。七度が、一度になる。それくらい、上にいくほど、傾きは目減りしていく。

🔴 ここから先は、言いません
では、あなたの踵が四度傾いているとき、あなたの骨盤は何度動くのか。
それを、私たちは言えません。研究の値が0.087から0.16まで散らばっている以上、「あなたは何度」と一本の数字で答えることは、できないのです。割合を平均してそれらしい数字を出すことはできます。でも、それは「平均的な誰か」の値であって、目の前のあなたの値ではありません。
THREE
第三章

なぜ、一本にならないのか

研究ごとに値が違うのは、測り方が雑だからではありません。世界中の優秀な研究者が、丁寧に測って、なお、ばらけるのです。理由は、身体の側にあります。五つ、挙げます。

ひとつ。個人差が、平均を超える。

Vella ら(2023)は、踵に十二ミリの高さを入れたとき、骨盤がどれだけ動くかを測りました。平均すると約1.4度。けれど、人によるばらつき(標準偏差)は約2.0度。ばらつきが、平均より大きいのです。これは、「平均は1.4度だが、ほとんど動かない人もいれば、その何倍も動く人もいる」ということです。平均値が、ほとんど意味を持たない。

ふたつ。比例しない。

Tateuchi ら(2011)の研究では、踵のくさびを五度にしたときと十度にしたときで、骨盤の反応が、増えるのではなく、向きが反転しました。「二倍傾ければ二倍動く」という素直な比例が、成り立たない。だから、一つの傾きで測った割合を、別の傾きにそのまま当てはめられないのです。

みっつ。平面が、混ざる。

踵の外反は、身体を後ろから見た「左右の面」の動き。すねのねじれは、上から見た「水平の面」の動き。骨盤の前傾は、横から見た「前後の面」の動き。三つの、別々の面の角度を、一本のかけ算でつなぐ――その物理的な根拠が、じつは確かではありません。

よっつ。どちらが原因か、はっきりしない。

踵が骨盤を動かすのか、それとも骨盤の傾きが先にあって踵に降りてくるのか。Salsich ら(2016)は、上から下への流れ(骨盤から大腿へ)も示唆しています。上りなのか下りなのか、向きが一方向に定まらない。

いつつ。筋肉が、能動的に制御する。

身体は、ただ骨が機械的に連動するのではありません。筋肉が、その都度、姿勢を保とうと働きます。だから、亡くなった方の脚を使った実験(Hintermann 1994、Fischer 2018)と、生きて立っている人の実験とでは、伝わる割合が五割以上も違ってきます。生身の身体は、機械ではないのです。

🟢 これは、はっきり言えます
五つの理由は、どれも「測り方の失敗」ではなく、「身体がそういうもの」だという話です。だから、世界中が繰り返し測っても、一本の係数に収束しなかった。これは、科学の怠慢ではありません。むしろ、丁寧に測ったからこそ見えた、生身の身体の正直な姿です。
THREE+
第四章

民族で、性で、病で、こんなにも違う

「一本の数字にならない」と書きました。では、何が、そんなに人を分けるのか。世界の文献を深く当たると、三つの大きな分かれ道が見えてきます。

ひとつめは、性別です。

女性の身体は、男性とは違う伝わり方をします。骨盤の前傾、太ももの骨のねじれ、膝のQ角――足から骨盤へ力を伝える「骨組みの角度」そのものが、女性のほうが大きい。だから歩くとき、女性は骨盤の傾きも回旋も男性より大きく動きます。同じ踵の傾きを入れても、その力が骨盤に届く道筋が、男女で構造から違うのです。

🟡 参考値として(出典を添えて)
歩行中、女性は男性より骨盤の傾き・回旋が有意に大きい(Røislien ら、男性55名・女性36名)。女性は骨盤前傾・大腿前捻・Q角が大きく、脛骨のねじれは小さい(複数の三次元計測研究)。単脚で立つ動作でも、女性は骨盤と体幹の動かし方が男性と異なる(Graci & Salsich 2012)。

ふたつめは、民族です。

足の骨の形は、生まれ持った民族性によって違います。踵の骨の関節面の形は遺伝的に決まっていて、民族で差がある。世界の一万五千人を調べた大規模な調査では、足の形は民族と性別で異なり、とくにアジア人の足は、ほかの集団と大きく違っていました。足の形が違うということは、力を受け止める「てこの支点」の形が違うということです。同じ角度で踵が傾いても、支点の形が違えば、上へ伝わる力の向きと大きさが変わります。

🟡 参考値として(出典を添えて)
踵骨の関節面の形態には民族差があり、遺伝的に規定される(解剖学的形態研究)。一万五千二百三十五名を対象とした系統的レビューで、足の形態は民族・性別で異なり、アジア人は最も大きな差を示した(Footwear Science 2023)。北米・欧州・アジアで足形状の分布が異なることが、百二十万件のデータで示されている(Jurca ら 2019)。

みっつめは、病です。

何らかの疾患があると、身体の前提そのものが変わります。たとえば、骨そのものがねじれていると、力がまっすぐ伝わらず、途中で逃げてしまう。同じ診断名でも、一人ひとりまるで違います。痙性片麻痺のお子さん九十一名を調べた研究では、骨盤の動きが「正常・軽度・中等度・重度」の四段階にきれいに分かれました。同じ病名の中に、これだけの幅がある。

🔴 ここは、特に慎重に言います
だからこそ、AGGTは病名で人を束ねません。「この病気だからこの数字」とは、決して言わない。同じ診断名の中の一人ひとりの違いこそ、いちばん大切に見るべきものだからです。疾患をお持ちの方の身体は、それぞれが固有の物語を持っています。それを平均の数字で塗りつぶすことは、しません。
FOUR
第五章

足首までは効く、骨盤までは届くかわからない

では、何も言えないのか。そうではありません。

文献を並べていくと、一つの輪郭が浮かびます。「下のほうほど、よく効く。上にいくほど、届くかどうか怪しくなる」。

足首では、伝わり方は比較的そろっています。膝のあたりまでは、Khamis らの値で、踵の傾きの七割ほどが伝わる。けれど骨盤まで来ると、伝わる割合は一割前後に落ち、しかも研究ごとに二倍ばらつく。装具の研究をまとめた総説でも、足首への効果ははっきり出るが、骨盤への効果は「根拠が乏しい」とされています。

ここで、思い出してください。

AGGTは、バランサーの但し書きに、はじめからこう記しています。

「崩れが上から降りてきている方には、踵を正しても届かないことがあります」。

🟢 これは、特筆すべきことです
この一文は、文献を調べて書いたものではありません。臨床の現場での観察から、先に生まれていたものです。けれど、後から世界の文献を当たってみると、生体力学が数百人を測ってたどり着いた結論――「足首までは効くが、骨盤まで届くかは個人差が大きい」――と、同じ方向を向いていました。現場の観察が、結果として、文献の到達点と重なっていた。これは、文献と照らして確かめられた事実です。
FIVE
第六章

測定器・解析器として、言い切れること/言い切れないこと

ここで、いちばん大事な腑分けをします。AGGTは、測定器であり、解析器です。その道具として、何を言い切れて、何を言い切れないのか。これを、はっきり分けます。

🟢 私たちの測定器・解析器として、言い切れること
ひとつ。剛体としての偏位。踵の傾きの角度は、写真から直接測った実測値です。その角度から「一本の棒なら重心がどれだけ横にずれるか」を出す計算式は、高校数学の三角関数で、確実です。補正厚も同じで、踵の幅と傾きから幾何学的に出る、仮定を含まない数字です。ここは、誇張なく言い切れます。
ふたつ。この撮影で起きた事実。「この人を、この日、この条件で測ったら、これだけ傾いていた・これだけ揺れた」。これは観測された事実として、言い切れます。
みっつ。補正の前後で、どれだけ変わったか。同じ人を、同じ条件で、補正の前と後に測れば、ものさしのクセは打ち消し合い、変化だけが残ります。「この人に、この補正が、効いたかどうか」を変化として捉えること――これこそ、AGGTの測定器・解析器が、最も確かに言えることです。ただし、正直に添えます。何度の変化をもって「意味のある変化」とみなすか――その線引きは、AGGTのものさしでは、まだ確立されていません。これは、これからの実測データの蓄積によって確かめていく、次の課題です。
🔴 私たちの測定器・解析器として、言い切れないこと
ひとつ。「踵が何度だから、骨盤が何度動く」という、その人ひとりの確定した換算。第二章から第四章で見たとおり、これは世界の誰にも、一本の数字では言えません。
ふたつ。「この補正で症状が改善する」という効果の保証。連鎖の伝わり方が一本にならない以上、補正が骨盤や症状にどう響くかは、やってみて、測って、確かめるほかありません。
みっつ。「正常か、異常か」の判定。スマホ写真から関節を推定する仕組みには数度の誤差があり、判定したい閾値も数度。誤差が閾値と同じ大きさでは、正常な人を異常と呼んでしまう。だから、合否判定はしません。

ここで、専門家の方へ、正直に申し上げます。

バランサーとCOSMO EYEは、代償の推定に、踵から骨盤への「伝わり方」の係数(Khamis & Yizhar 2007 の実測から導いた値)を使っています。「係数の確かさを否定しておきながら、その係数を使うのは矛盾ではないか」――そう問われると思います。

お答えします。私たちは、その係数を「世界が今のところ到達した、最良の暫定値」として使っています。確定値としてではありません。だからこそ、その推定値は会員専門版に限って提示し、公開版では伏せ、「確定していない」と明記する。使うけれど、確定とは偽らない。この一線が、AGGTの誠実さです。暫定値を暫定値として正直に扱うことと、暫定値を使わないことは、別のことです。私たちは、前者を選びます。

🟢 だから、AGGTの立ち位置は、はっきりしています
AGGTは、合否を判定する装置ではありません。「あなたは異常です」とは言わない。剛体としての偏位を確実に測り、補正の前後の変化を確かに捉える。その確かな部分を土台にしながら、まだ世界が確定できていない代償の定量は、暫定値として正直に扱う。測れることは測りきり、言えないことは言えないと告げる――その腑分けの上に、AGGTは立っています。
SIX
第七章

言い切れなさを、財産にする

ふつう、道具を売るとき、「言い切れません」とは書きたくないものです。「この数字で改善します」と言い切ったほうが、信頼されそうに見える。

AGGTは、逆をいきます。

言い切れないことを、言い切れないと書く。

その「言い切れなさ」が、どこから来るのかを、世界の文献まで遡って確かめる。

「ない」ものを「ない」と言うために、わざわざ世界中の研究を掘り返す。

それは、一見、遠回りで、損な作法に見えます。「ある」と言えば一行で済むところを、「ない」を確かめるために、何倍もの手間をかけるのですから。

けれど、患者さんに手渡す数字の重みを思えば、これ以外の道はありません。いい加減な覚悟の人は、数字を盛る。本気の人は、「ない」を確かめるために、手間を惜しまない。どちらが、その数字を信じてくださる方を守るか――考えるまでもありません。

ここで、いちばん大切なことを書きます。なぜ、一本の数字にならないのか。その本当の理由です。

それは、身体が雑だからではありません。むしろ逆です。一人ひとりが、その人だけの立ち方で、重力と渡り合っているからです。

考えてみてください。人間は、二本の足で立つ、という無茶をやってのけた生き物です。重い頭を、いちばん高いところに載せ、細い二本の脚で支える。物理だけを考えれば、倒れて当たり前の、不安定きわまりない姿です。その無茶を、私たちは平然とやっている。立ち、歩き、走り、片足で靴下をはく。

それを可能にしているのが、全身を総動員した補正のしくみです。足元が傾けば、その崩れを上へ伝えながら打ち消し、同時に、上半身の揺れを下へ伝えて受け止める。下からの補正と、上からの補正が、絶えず同時に働いている。しかも、骨という骨組みだけではありません。骨のまわりの筋肉が、一瞬ごとに、何百という単位で、締めたり緩めたりしながら、姿勢を微調整しています。目をつぶって立っていても倒れないのは、この筋肉の補正が、休みなく働いているからです。

🟢 これは、人類が二本足で立った日から獲得してきたものです
下から、上から、骨で、筋肉で。何重もの補正が、同時に、無意識に働く――この精妙なしくみは、人類が二足歩行を手に入れて以来、長い時間をかけて磨き上げてきた、姿勢制御の深さそのものです。そして、その磨き上げ方は、一人ひとり違います。骨の形が違い、筋肉の使い方が違い、生きてきた歴史が違うからです。

だから、踵の傾きという「入口の一つ」をいじったとき、骨盤という「出口」に何が出てくるかは、その人がこれまでに編み上げてきた、補正の癖のすべてを通り抜けた結果になります。七十億人いれば、七十億通りの、重力との渡り合い方がある。

一本の係数に収まらないのは、人間が、それほどまでに精巧で、それほどまでに、一人ひとり、かけがえのない生き物だからです。

数字が一本にならないことを、私たちは、欠陥だとは思いません。それは、目の前のこの人が、世界にただ一人の存在だという、何よりの証しです。AGGTが測っているのは、平均的な人間ではありません。いま、ここに立っている、たった一人の、あなたです。 そのたった一人のあなたにぴったり寄せるために、 AGGT のかかと調整の数値は、重力軸と抗重力軸を可能な限り近づけて行くための最初の一歩なのです。 身体は、その補正に応えてくれることがあります。 それからまたしばらくして計測してまた補正を手直ししながら、身体の軸を整えることの繰り返しをしつつ、出来るだけ脊椎外科が手術の目安として目指す頚椎7番からの重力軸との一致と似た概念である、重力軸と抗重力軸の一致をAGGTは目指しているわけです。

確かめたことは、確かめたと書く。

借りているものは、借りていると書く。

まだ分からないものは、分からないと書く。

そして、言い切れないものは――言い切れないと、隠さずに書く。

連鎖は、ある。けれど、その先は、まだ世界の誰にも、一本の数字では言えない。

だからこそ、AGGTは、そこへ一滴ずつ、実データを積み上げにいきます。世界がまだ埋めていない、その空白へ。

踵の七度が、骨盤の一度になるまでに、何が起きているのか。それを、これから皆さまと一緒に、隠さず、確かめていきたい――それが、この一篇でお伝えしたかったことの、すべてです。

REFERENCES

参考文献

本稿で参照した代表的な文献を、分野ごとに挙げます。いずれも、AGGTのスマホ写真とは測定方法が異なる研究値であり、「世の中の地図」として参照したものです。AGGT自身の土俵で測ったものではありません。

踵から骨盤への伝わり方(連鎖と、その係数)
Khamis S, Yizhar Z. Effect of feet hyperpronation on pelvic alignment. Gait Posture 2007;25(1):127-134.
Hornestam JF ら(2021)/Yi CH ら(2016)/Tateuchi H ら(2011)/Salsich GB(2016)/Hintermann B, Nigg BM(1994)/Fischer ら(2018).

性差(男女で骨盤への伝わり方が違う)
Røislien J ら. Sex differences in whole body gait kinematics. Gait Posture 2014.
Graci V, Van Dillen LR, Salsich GB. Gender differences in trunk, pelvis and lower limb kinematics during a single leg squat. Gait Posture 2012;36(3):461-466.

民族差(足の形=てこの支点が違う)
Foot morphological variations between different ethnicities and sex: a systematic review. Footwear Science 2023;15(1).(15,235名)
Jurca A ら. 120万件の足形状データ解析. 2019.
踵骨形態の民族差・遺伝的規定に関する解剖学的形態研究(2024-2026).

疾患別(同じ病名でも一人ひとり違う)
Wright J ら. 痙性片麻痺児91名の骨盤運動を正常/軽度/中等度/重度に層別、健常48名と比較. PubMed 21454079.

姿勢制御・代償の全身性
矢状面バランス・距骨下関節軸理論・筋膜科学は、本シリーズ008「へそ」009「二枚の窓」011「揺れを、隠さない」に出典記載。

外側ウェッジインソールと痛みの個人差
Parkes MJ ら. JAMA 2013;310(7):722-730(8つのRCTで有意な痛み軽減なし). 本シリーズ001に詳述.

← 「先人から受け取ったバトン」シリーズへ戻る

本稿の位置づけについて 本稿は、AGGTの測定ツールで実際に取得した一名・一日ぶんの実測データの記録です。傾きの角度が写真からの実測値であること、その角度から距離を導く計算が三角関数として確実であること、ばらつき幅が計算結果であること(🟢確立)と、この撮影で観測された後方・側面の非対称という事実(🟢この撮影の事実)、世の中の研究が報告する参考値(🟡参考・ただし測定モダリティが異なる)、そして身体の意味づけ・AGGT自身の標準分布・個人の正常異常判定が未確定であること(🔴未検証)を、明確に分けて記しています。

被験者はAGGTの開発者本人であり、撮影・公開について本人の同意を得ています。一名の観測から集団の標準や身体の状態を推論することはせず、本稿は症状の診断や治療効果を保証するものではありません。

第六章で挙げた参考値は、立位X線・ゴニオメーター等で測定された文献値であり、AGGTのスマートフォン写真+姿勢推定とは測定モダリティが異なります。これらをAGGTの測定値に対する合否判定の閾値として用いることはしません。スマートフォン姿勢推定の角度誤差が判定したい閾値と同等以上であるため、本測定系での正常/異常の機械的判定は原理的に行えません。なお、本稿が主軸とする施術前後の変化量についても、何度の変化をもって臨床的に意味のある変化とみなすか(最小臨床的重要差)は、AGGTのモダリティではまだ確立されておらず、今後の実測データの蓄積により検討すべき未確定事項です。

本稿で示した数値・解釈は、AGGTおよび独立検証パートナー(Manus)との協議を経て到達した見解をもとに構成したものです。各文献の数値・結論の引用にあたっては原論文を典拠とし、本稿における解釈はAGGTの見解であって各研究者の主張そのものではありません。参照した主な研究は、本文末尾の参考文献に記載しています。

ライセンス:CC BY-SA 4.0 / AGGTとは先人から受け取ったバトン