AGGTの測定で、踵に一本の線を引きます。踵が地面に触れる中点から、距骨下関節へ、そして膝裏の方へ。
けれど、この一篇は、まず正直に、白状することから始めます。
わたしは、この距骨下関節を、どこに採ればいいのか――いまでも、本当には、分かっていません。
一般の人に医学的な計測を届けたくて、機械に任せようとしました。その夢は、潰えました。
それでも、患者の前で手を止めるわけにはいかない。分からないなりに、たった一つ思いついた手がかりを頼りに、いちばん確からしい一点を探しています。
やれることは最大限やり、届かないことには手を出さない。推論と、科学的な現実を、分けて書きます。
まず、正直に、白状します。距骨下関節――踵の骨(踵骨)と、その上の距骨のあいだにある、足の要の関節。この関節を、後ろからの一枚の写真の上で、どこに点を置けばいいのか。わたしには、確たる答えが、いまでも、ありません。
わたしは、この「分からない」を、隠しません。分からないものを、分かったふりで埋めることこそ、してはならないことだからです。
では、なぜ、分からないなりに、手で採るのか。ここに、AGGTの、いちばん大きな決断があります。
わたしは、ずっと、機械の自動計測を追い求めてきました。理由は、一つ。一般の人に、医学的な計測の手を、届かせたかったからです。専門家でなくても、スマートフォン一台で、自分の身体を測れる。その夢を、必死に、求めてきました。
けれど、その夢は、潰えました。機械が自動でつけるマークが、あまりに適当で、わたしは、言葉を失ったのです。いい加減なマークの上に数字を積めば、それは、嘘になる。嘘をつくくらいなら、届けるという夢のほうを、手放す。 そう決めました。捨てなければ、前に進めなかった。
機械を捨ててでも、手で採る。
それは、嘘をつかないための、決断でした。
手で採ると決めても、距骨下関節がどこにあるかは、やはり分からない。だから、推定する術を、必死に探しました。文献も検索しました。でも、確証は、得られなかった。
ならば、と、道理に立ち返りました。骨は、自分では動きません。骨や関節の向きを整えているのは、いつでも、そのまわりを支える筋肉と腱です。 では、踵の骨と距骨を支えているのは、何か。それを考えたとき、思い浮かんだ手がかりが、一つだけありました。
一つ、正直に添えます。距骨下関節を内や外へ返しているのは、じつは、この筋一本ではありません。下腿から足へ渡る、いくつもの腱の綱引きです。だから、下腿三頭筋やアキレス腱が「この関節を動かす唯一の筋だ」とは、言いません。ただ、後ろから見えて、姿勢制御に直に働き、踵骨に付く手がかりとして、わたしにはこれくらいしか思い浮かばなかった――その、正直な由来です。
この下腿の流れを、手がかりにする。けれど、わたしは、「この流れが、身体の抗重力の軸と、一致している」とは、言いません。手がかりにすることと、二本が同じ一本だと言うことは、別のことです。
独立した検証者(Manus)に、出典とともに確かめてもらって、二つの面から、はっきりしました。
だから、この流れが抗重力の軸と一致するかは、文献では確かめようがなく、横から見ればむしろ別。わたしは「一致する」とは書きません。手がかりにするのは、道理に沿った工夫であって、証明ではないのです。
手がかりにはする。けれど、一致するとは、言わない。
では、飾らず、正味の姿を、まとめます。
距骨下関節を、どこに採ればいいのか。わたしは、いまでも、本当には分かりません。一般に届ける夢を追い、機械の限界の前に、それを手放しました。それでも、分からないなりに、道理に沿った、たった一つの手がかりを頼りに、いちばん確からしい一点を探しています。
AGGTは、この線に、実際より多くを語らせません。測って、整えて、また測って、確かめる。 何ができて、何ができないか。何が分かっていて、何が分からないか。それを、隠さず、分けて書く。分からないものを分からないと認めるのは、強いからではありません。ただ、嘘をつかない、というだけのことです。
分からないものを、分からないと認める。
それでも、手は止めない。
――やれることを最大限、届かないことには手を出さない。
本稿で参照した主な文献を挙げます。いずれも、AGGTのスマホ写真とは測定方法が異なる研究値であり、「世の中の地図」として参照したものです。本稿の科学的な核心(下腿の流れと抗重力の軸は、後ろから見ても横から見ても重ならない)は、独立検証パートナー(Manus)との相互検証を経て到達した見解です。
🟢 確かなもの
1. Krähenbühl N, Horn-Lang T, Hintermann B, Knupp M. The subtalar joint: A complex mechanism. EFORT Open Rev 2017;2(7):309-316. DOI:10.1302/2058-5241.2.160050.
2. Bordoni B, Varacallo M. Anatomy, Bony Pelvis and Lower Limb: Gastrocnemius Muscle. StatPearls, 2024.
3. Hall SJ. Basic Biomechanics. 8th ed. New York, NY: McGraw-Hill; 2019.(重力線は足関節のやや前方を通り、下腿三頭筋がそれに抗する)
4. Physiopedia. Gastrocnemius.
5. Physiopedia. Centre of Gravity.
6. Manus(独立検証パートナー). 後方立位における下腿アライメントと重力線に関する独立検証回答書. 2026.
🔴 骨を動かすのは筋腱だという道理から、下腿三頭筋・アキレス腱の流れを距骨下関節の位置採りの手がかりに選んだこと、および施術者の主観的な実感は、道理に沿った工夫・あるいは主観であり、特定の一本の筋腱がこの線と一致するという証明ではありません。AGGT自身の臨床的検証はこれからの課題です。